日時 |
目的地 |
所在地 |
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2016年11月16日 |
唐木峠(約680m) 高落場山(1122m) |
富山県南砺市 同上 |
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行動日程 |
旧五箇山街道入口10:20~10:50唐木峠11:00~11:20展望台11:20~12:00尾根分岐12:00~12:05高落場山山頂13:05~13:10尾根分岐13:10~13:30巻道分岐13:30~13:55林道出合(登山口)14:00~14:30つくばね森林公園登山口14:40~15:00夫婦滝15:05~15:20旧五箇山街道入口 |
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参考資料 |
Web情報:国土地理院/基準点成果等閲覧サービス(三角点情報) 文献 : |
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これまでの山行記録 |
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<< 注:赤枠で囲った写真にマウスポインターを当てると、ルート表示や説明が現れます。>> 少し足を伸ばして富山県の唐木峠・高落場山に登って来た。唐木峠は五箇山と砺波平野を結んだ旧五箇山街道にあった峠。合掌造りで有名な五箇山(最近では世界遺産にも登録され、脚光を浴びている)は昔は山を越さないと行けない秘境の地だった。庄川沿いを行けば山越えをしなくてよいが、昔の技術では中々そこに道を造ることは難しかったようだ。現在庄川沿いには国道156号線が通っているが、狭い谷の斜面を削って道を付けたもので、かつては道幅が狭く大変危険だったため、路線番号にかけて「(谷に落ちたら)イチコロ線」と呼ばれていたそうだ。なので、国道304号線(現在の五箇山街道と言ってもいい道)や東海北陸自動車道は、旧五箇山街道が越えていた山並をトンネルでぶち抜いて造られている。旧五箇山街道は五箇山と砺波平野を結ぶ生活の道だっただけでなく、ここを支配していた加賀藩にとっても重要な道であった。五箇山で産した煙硝が運ばれ、また流刑地だった五箇山に罪人を送り込む道でもあった。そのため、この峠道はよく整備され道幅も広く、必要なところには石畳も敷かれていた。
唐木峠の入口(旧五箇山街道朴峠登口)は国道304号線から林道を少し入った所にある。ここは旧五箇山街道の途中となっており、下からもよく整備された峠道が上がってきている。
登山口には若杉集落があったが廃村となっており、人っ子一人いないどころか、古い住居跡も全くなかった。しかし、昔は物資の中継地点として賑わっていたようだ。
登り口からすぐに石畳道になった。石畳はこの後唐木峠までずっと続いていた。登り口を入ってすぐ右手にかなり広い平坦地があったから、ここに住居が立ち並んでいたようだ。
石畳道はいまは草生し狭くなっているが、昔は1間(1.8m)以上の幅があったのではないだろうか。道は勾配が緩やかで、非常に歩きやすい。石畳道の説明板を読むと、昔はここを牛も越えたようだ。ただ、説明板にもあったように、この道は雨が降ると歩きにくい。ここ数日雨が降っていたから、石畳が滑りやすく、またぬかるみになった所もあり、登山靴がドロドロになってしまった。また、何ヶ所か倒木が道の真ん中にそのままになっていた。この道は環境省が中部北陸自然歩道に指定しているのだが、定期的に整備が行われているとは思えない。
道の横にもう一本道が並行して走っているところがあった。付け替えられる前の古い道かとも思ったが、この道は牛も越えたということだから、牛のすれ違いや休憩のために造られたものなのかもしれない。福井県内でも武生と越前海岸を結んだ馬借街道に牛馬のすれ違いや休憩のために脇道が造られているところがある。
唐木峠までは30分ほどで着いた。ここからまっすぐ続いている道が旧五箇山街道。その道を歩き、朴峠まで行きたかったが、途中の人喰谷が通行不能だということで、ここから左に折れ、高落場山を目指す。途中、横渡と言われる険しいところがあり、昔から通行の難所だったようだ。この峠は山の鞍部を通っているが平坦で、掘れていない。また、ここにも本道の脇にもう一本道が走っており、こちらのほうは掘れた道となっている。先ほども書いたようにこの道は古い道跡にも見えるが、牛のすれ違いや休憩用に造られたのかもしれない。
砺波平野から上がって来た道は向こう側の谷に下りるのではなく、山肌をトラバースして進んでいる。越前によくある谷・谷型の峠でも、峠の表裏理論にある谷・尾根型の峠でもない。複合型の峠と言っていいのかも。しかし、谷に降りていくところにも道跡があった。そこを降りていけば、その名も恐ろしい人喰谷という険しい谷に至る。そこから別の谷筋を登り切ったところに朴峠がある。そのルートにも道があったのかどうか調べてみないとわからないが、もしそこに道があったのなら、より古い峠道だと言えるだろう。トラバース道は比較的新しいもので、もしかすると藩政時代に開発されたのかもしれない。
ところで、唐木峠という名前だが、日本に「唐木」という木はない。唐木とは「唐から来た木」という意味で、紫檀,黒檀,白檀,花りん,タガヤサンなどの輸入木材を指す。それらの木は美しい色合いやつやを持っており、古来家具や細工物に用いられてきた。それらを細工する職人が中国からやって来て日本に住み着き、唐木という姓を名乗ったそうで、そういった人々がこのあたりに住み着いたのではなかろうか。ちなみに、ふもとにある城端は仏壇で有名だが、仏壇にも紫檀や黒檀が使われており、何らかの関係があるかも。
高落場山に登る道も深く掘れたところがあり、年輪を感じるが、道が削られすぎて少し歩きにくいところがあった。高落場山だけに登るのなら、帰路に歩いた、草沼山から登ってくる尾根道を歩いたほうがよさそうだ。そちらのほうが整備されていた。
登山道の途中に切り開きがあり、砺波平野がよく見えた。散居村の砺波平野はほかの平野とはいささか趣が違う。家屋敷がゴマ粒のように点々とあり、耕地だけが広がる開放的な空間がないので、何かせせこましく感じる。
急登を終え、ようやく尾根に出た。ここで、つくばね森林公園から上がってくる尾根道に合流する。その尾根道には道宗道の表示があった。道宗は五箇山赤尾谷の出身で、蓮如の教化を受け、熱心な浄土真宗信徒となり、自ら道場を開いて信仰を広めた人物だそうだ。
高落場山山頂までは唐木峠から1時間ほどだったが、昨日まで雨が降っていたこともあり、滑りやすく、思った以上に大変だった。ここからは展望がよく、立山連峰から北アルプス、白山が見えた。
このあたりの山域を登るのは初めてなので、見えている山々がよく解らなかったが、正面にどっしりした大きな山が見えた。後で調べたら、どうも金剛堂山というようだ。その向こうに霞んではいるが白く雪化粧した山がいくつか見えた。立山から北アルプスのようだ。
立山は比較的はっきり見えた。北アルプスらしきものも見えたがうまく写っていないので、写真は割愛した。
南方面には白山が見えた。こちらから見る白山は初めて、随分形が違う。
西のほうには医王山が見えた。夕霧峠の下にあるスキー場がはっきり見えている。
山頂から反対側の登山道を下りれば朴峠に行けるのだがまた山頂に戻って来なければならない。そんな元気はなく、そのまま下山することにした。帰りはつくばね森林公園に下りていく登山道を使ったが、こちらのほうが今はメインのようで道は広く、しっかり整備されていた。この尾根道の周辺はブナの純林となっており、葉が落ちたこの時期は明るく気持ちがいい。登山道の途中に変わった形のブナがあり、それぞれ、兜ブナ、こぶブナ、兎ブナ、ぞうさんブナなどの名前が付けられていた。
今回はずっと尾根道を通ったが、途中尾根を避けて歩ける巻道もあり、そちらのほうがより楽だったようだ。その分岐には大滝山ブナ原生林との矢印が出ていた。また、ここから少し上った所に右に下りていく道が分岐していた。そこを降りていけば一旦林道に出て高清水山に縦走できる。
途中、草沼山という小さなピークがあり、三角点があった。そこからは下りとなり、途中林道に下りていけるところがあった。今回は林道に下りずにずっと登山道を歩いたが、そこから先は急で滑りやすかったから、林道へ下りて歩いたほうがよかったようだ。途中にもう一ヶ所、林道に下りていけるところがあった。
登山道はつくばね森林公園の駐車場のところに出てきた。駐車場はかなり広い。
ここには公園管理棟やキャンプ場があったが、すでに冬季閉鎖中で、誰もいなかった。
つくばね森林公園からは林道歩き。途中に立派な滝があった。落差7,80mはあろうかと思ったが、説明板を見ると38mとなっていた。舗装路歩きが嫌いな私にとって、一服の清涼剤になった。ここから、15分ほどで往きに登って来た旧五箇山街道登口に着いた。
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