日時

目的地

所在地

2009年5月26日

越前自然歩道(六所山~血ヶ平分岐)

越前町茗荷~福井市城有

 行動日程

越前西部3号線/城有林道分岐13:30~14:00血ヶ平分岐14:00~14:30笈松方面分岐14:35~14:50林道引返点14:50~15:10笈松方面分岐15:10~15:30林道終点(廃車バスあり)15:30~15:45六所山直下駐車場15:45~15:50旧道入口15:35~尾根道引返点~16:15旧道入口16:15~16:20展望台16:20~16:40六所山登り口16:40~(越前西部3号線)~17:20茗荷分岐17:20~(越前西部3号線)~17:30越前西部3号線/城有林道分岐

 参考資料

地図:国土地理院2万5千分1地形図 織田(岐阜)

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注:この地図はおおよそのルートをトレースしたもので、正確ではありません。なお、原則的に下から3番目に小さい縮尺の地図に合わせているため、他の縮尺ではルートと地図にずれが生じる場合があります。地図上の赤線が今回歩いたルート(ただし、帰路に広域基幹林道越前西部3号線を歩いた区間は省略してあります)。緑色の線越前自然歩道と推測されるルート(六所山~血ヶ平分岐区間)です。

今回は、今年の冬に立鎗峠を歩いたときに目星をつけておいた越前自然歩道の六所山から血ヶ平区間を歩くことにした。越知山から南側区間は越前自然歩道の資料が全くなく、ルートは完全な推定となる。現時点で解かっているのは、越知山から花立峠を通って六所山に登り、そこから越前岬まで越前自然歩道が続いていたということだけである。だから、六所山から先は推測するしかないが、地元の方に聞いたところ越前自然歩道は六所山の西側に伸びる稜線上を通り、越前町血ヶ平に降り、そこから越前岬に向っていたとの証言を得たので、今回は六所山から西側に伸びる尾根を歩いてみることにした。この尾根には現在は林道が通っているのだが、六所山からその林道に入っていく道が解からなかったので、今回は逆に(血ヶ平方面から)歩いてみることにした。このルートに取り付くには広域基幹林道越前西部3号線と林道城有線が交わる三叉路のところにある林道を上げって行くことになる。この三叉路付近の状況については立鎗峠のレポートで詳しく紹介しているので、そちらをご覧ください。

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越前西部3号線の途中にあった展望台

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雑草に覆われた駐車場と遊歩道

目標となる三叉路へは武周ヶ池から花立峠に至り、そこから越前西部3号線を旧越廼村のほうに向うルートもあるが、今回は越前西部3号線を北のほうから入って目的地に向うことにした。越前西部3号線の北の入口は、武周ヶ池のほうに向う県道を武周ヶ池のところで曲がらず、旧越廼村(大味)のほうに直進。旧越廼村に入ってすぐのところに左に上がっていく林道がある。これが越前西部3号線の北の入口だ。数年前に車で走ったときはダート部分が残っていたが、今回は全線舗装されていた。少し落石はあるものの、路面はまずまず良好だ。越前西部林道は1号から4号まであり、福井平野の西部にある丹生山地を縦走している大林道(越前市の南端から始まり、福井市の大芝山付近まで全長約81.7km、幅員5、6m)だ。工事は昭和49年に始まり、昭和58年に1号線が、平成5年に3号線が完成するという広大な事業だった。しかし、4号線は殆どが未舗装で、金毘羅山の麓あたりはまだ未開通となっている。数年前に大芝山から金毘羅山のほうに、この林道を歩いたところ、金毘羅山の麓あたりで林道は行き止まりになっていた。工事は現在も続けられているようで、行き止まり近くの林道は真新しく、最近工事が行われたばかりのようだった。越前西部4号線は福井市の管轄だそうなので、福井市に4号線がいつ開通するのか聞いてみたところ、予算がなく工事再開の目途は立っていないとのことだった。林業の促進がその目的だろうが、造る必要性がどれほどあるのか甚だ疑問だ。本当に必要なら、工事が始まって35年も放っておかないだろう。この林道は日本海に面していて景色が良く、観光目的も視野に入れているようで、林道の途中には日本海を見渡せる展望台も出来ていたが、造っただけで放置されているようだ。展望台は草ぼうぼうで足を踏み入れることも出来なくなっていたし、駐車場も草が伸び放題だった(上記写真)。もったいない。

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越前西部3号線/林道城有線分岐

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左:六所山、右:血ヶ平

林道は山間を縫うように蛇行して走っているため、走行距離が長くなり、目的地に着くのにかなりの時間を要した。武周ヶ池、花立峠経由で来たほうが早かったかも知れない。越前西部3号線と林道城有線が交わる三叉路は峠といっていいようなところにあり、南妙法蓮華経と書かれた題目塔と休憩小屋のようなものがある(このあたりの詳しい状況は立鎗峠のレポート参照)。題目塔の脇に二本の林道があるが(上記左側写真)、右側が越前自然歩道に上がっていく道だ。三叉路は広場状になっているので、その隅に車を停め、林道に入って行った。林道は最初コンクリート舗装がなされており、途中でも急坂の部分は舗装されているので、車でも十分に入っていけるだろう。山すそを巻く道を30分も歩くと、道が二股になったところが現れる(上記右側写真)。右が血ヶ平に至る林道で、左が今日の目的となる六所山へ至る林道だ。

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越前自然歩道の跡??

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血ヶ平へ降りる林道には鎖が

この分岐点の西のほうには山道だったらしい跡があり、西の稜線のほうに越前自然歩道が続いていた可能性もある。この稜線を歩いても、立鎗峠を通り、血ヶ平のほうに降りることが出来る。右側の林道も少し歩いてみたが、すぐに鎖がしてあり、ここからは車では入っていけない。しかし、ここにあった鎖や進入禁止の看板は立鎗峠を歩いたときにあったものと同じで、森林組合が頻繁に出入りしており、道は整備されていると思う。地図では途中から破線になっているが、今は森林組合が血ヶ平集落までしっかりした道をつけていると思われる(実際に歩いてみないと解からないが・・・)。

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尾根上を走る林道

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林道脇の踏み跡(越前自然歩道跡??)

六所山に至る林道は稜線上を走る尾根道で、展望が期待されたが、植林された杉に邪魔されて、殆ど展望はなかった。しかし、路面自体はしっかりしており、一般車でも十分に走れそうだ。林道は最初稜線より下を巻くように走っていた。越前自然歩道は稜線を忠実にトレースしていたと思われるにので、稜線までよじ登り、そこに道がないか調べてみた。確実に道と思えるものはなかったが、踏み跡があり、それが昔の越前自然歩道の跡ではないかと思われる。途中で何ケ所か、林道が尾根と交差するところがあり、そこも良く調べてみたが踏み跡程度のものしか確認できなかった。しかし、これが越前自然歩道の跡なのだろう。ちなみに、この道は福井大学のワンダーフォーゲル部が50年前に開発した道でもある。越前自然歩道の指定はその後だから、福大生が開発した道が越前自然歩道となったのだろうと思われる。道は殆ど消え去ろうとしており、今は全く人気がなくなってしまっているが、この道はその後昭和42年に県民体育大会の登山コースにも使われたことがあるそうだから、その当時ならこの辺も登山者で賑わっていたことだろう。また、林道を横切るように、南の谷のほうに降りていく踏み跡があったから、古い峠道がここに存在していたのかもしれない。

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朽ちた作業小屋

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右に降りていく林道

血ヶ平分岐より20分ほど歩くと、朽ちて骨組みだけになったプレハブ小屋が見えて来た。その辺りには南側に降りていく林道もあったが、後で地図で確認したところ、途中で行き止まりになっているようだ。

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厨城山と若須岳

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日本海(遠くに微かに敦賀半島が見える)

そこから少し行くと南側の杉林が途切れたので、ようやく展望を楽しむことが出来た。幾重にも重なった丹生山地の山々の先には厨城山や若須岳を望むことが出来た。また、少し西側に視線を落とすと、日本海も見渡せ、その先にはかすかに敦賀半島が浮かんでいるのが見えた。

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六所山のほうに伸びる古い林道

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越前町笈松(悠久ロマンの杜)方面に向う林道

そこから更に10分ほど歩くとまた道が二股に分かれていた。左側の道は草が伸び放題になっていたので敬遠し、右側の道を進むことにしたが、左側に進むのが正解だった。右側の林道は旧織田町の笈松(悠久ロマンの杜)のほうに至る道であることは解かっていたが、六所山の裾を巻いて進んでおり、どこからか六所山のほうに上がっていく道があるのではないかと、そちらに進んでみることにしたのだ。この道も今まで同様一般車でも走れそうないい道だったし、つい最近車が走ったタイヤの跡も残っていた。そこを20分くらい進んでみたが、特に六所山のほうに上がっていけるような道はなかったので、元の分岐点まで戻り、草深い左側の林道に入って行くことにした。この林道は六所山の西側に続く稜線の北側を巻いて六所山の方に進んでいる。この林道の上を走る稜線上に越前自然歩道があったと思われるが(上記左側写真の右側辺りの尾根)、特に道と思われるものは見当たらなかった。草やブッシュで道跡は消えてしまったのだろう。

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越前西部3号線を見下ろしながら歩く

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朽ちかけたマイクロバス

この林道は最初の100mほどは潅木が延び放題に伸びており、歩きづらかったが、途中からはブッシュや雑草もそれほどではなく、幸い歩くのにそれほど苦労はしなかった。分岐から20分ほど歩くと、廃車されたマイクロバスが置かれてある場所にたどり着き、そこで林道は終わりになっていた。しかし、実際にはそこで林道は終わりでなく、そこからも林道は続いていたようだが、長い間人の手が入っていないため、元の森に戻ってしまっていた。

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林道終点

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北西尾根から六所山頂上に至る古い登山道

そこを2、300m進んでいったがそれ以上進める状態ではなくなったので引き返した(地図を見ると、この道も後3、400m進むと行き止まりになっているようだ)。このまま引き返すのも癪なので、どこか見晴らしの良い稜線まで出てみようと、林道途中から稜線のほうに上がっていく作業道のようなものあったので、そこを進んでみた。この道も人が歩かなくなって相当経っているようで、木々が伸び放題だったが、歩きやすいように道がジグザグに付けられており、ただの作業道ではなさそうだった。最初はジグザグにまっすぐ稜線のほうに進んでいったが途中から山すそを巻くようになり、容易に稜線に出たいという私の要求には応えてくれそうになかったが、この道を進んでいくしかなかった。

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上に林道が見えてくる

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六所山直下の駐車場

薮の中を15分ほど歩くと、少し平坦になったところが現れ、その上が明るくなっていたので、そちらのほうに上がっていくと、林道に飛び出した。そこは広場となっており、左を見ると林道はすぐに行き止まりとなっていた。そこにはお地蔵さんがあり、どこかで見た風景だなと思ったら、六所山直下の駐車場だった。つい先日この地点を歩いたばかりだった。今歩いてきたのは古い登山道だったのだ。古い地図を見ると、南のほうから上がってくる今の登山道(林道)とは別に北西方面から上がってくる道が記されており、今歩いてきたのはその道だったのだ。南のほうから上がってくる今の林道(登山道)は15年ほど前に出来たものだそうだから、それ以前はこの登山道が頻繁に使われていたのかもしれない。今歩いてきた途中にあった林道終点まで車で上がって来れれば、そこから歩いて15分くらいで六所山山頂まで上がって来れるから、今の登山道が出来るまではこの道が六所山へ登る一番楽な登山コースであったことは間違いない。この日は殆ど越前自然歩道を歩けなかったから、この古い登山道を発見できたのが一番の収穫だった。

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切通し地点

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崖の斜面に現れた旧登山道入口

六所山頂上には先日登っているので、今日は頂上を敬遠し、南側の林道(越前西部3号線から上がってくる本来の登山道)を歩き、越前自然歩道だったと思われるルートを確かめることにした。駐車場から5分ほど歩くと林道が切通しになったところがあり、その右斜面に旧登山道の入口がある(地図上のA地点)。そこには六所山に至る古い登山道と共に、どこかで西に分岐し、血ヶ平のほうに向う尾根道が存在していたはずなので、それを探すことにした。

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尾根上に続く踏み跡(越前自然歩道跡か)

しばらくは旧登山道と思われるはっきりした踏み跡があったが途中で解からなくなってしまった。旧登山道はどこかで向きを変え南に進むようになっていたはずだが、その踏み跡が解からない。その代わり、西に伸びる尾根上には明らかな踏み跡があったから、これが福大生が開発した道であり、元の越前自然歩道であったものと思われる。尾根上を2、300m進んでいったが、踏み跡は途中から獣道のようになり、尾根を外れるようになったので、そこ(地図上のB地点)で引き返すことにした。しかし、この尾根道をずっと降りていけば先ほど通った林道分岐(笈松方面と六所山に至る林道が二股になった地点)に出るはずだ。

 

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ベンチのある展望台

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下を走る林道

元の登山道に戻り、登山道入口のほうに降りていった(この登山道についてはこちらをご覧ください)。その途中にはベンチのある展望台があるが、そこから下を覗き込んだら先ほど歩いた林道(笈松に至る林道)が見えた。林道に降りていける道がないか探してみたが、それらしい道は見当たらなかった。しかし、無理すれば降りれそうなところがあったが、かなり急勾配なので、素直に登山道を越前西部3号線まで降りて、そこを歩いて車の置いてあるところに戻ることにした。

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林道脇にはピンク色の花がたくさん咲いていた。この花は今が盛りのようで今まで歩いてきた道端にもたくさん咲いていた。花の名前はよく知らない。

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茗荷分岐

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中部北陸自然歩道の指標

越前西部3号線を進んで行くと、途中には茗荷集落に至る道が分岐していた。この道は武周ヶ池から花立峠のほうに上がっていく途中にある茗荷集落跡から始まっている林道であり、この道は中部北陸自然歩道に指定されている。

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茗荷に至る林道

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越前西部3号線と林道城有線の分岐点

越前西部3号線を40分くらい歩いてようやく、車を停めた三叉路に戻ってきた。帰りは越前西部3号線ではなく、林道城有線を通って海岸に出て、海岸沿いを走る305号線を通って家に戻ることにした。

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城有集落

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中部北陸自然歩道の指標

車で20分ほど走ると城有集落に到着。ここにも中部北陸自然歩道の指標があったから、今走ってきた林道が遊歩道に指定されているようだ。

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豊富な湧き水

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日本海に沈む夕陽(城有より)

その指標の前には豊富な湧き水が吹きだしている水飲み場があったので、飲んでみたが冷たくておいしい水だった。また、林道の途中から見る日本海の夕景が素晴らしくきれいだった。

案の定、林道が出来たおかげでこの辺りの古い登山道はズタズタになり、歩く人もなく打ち捨てられてしまっていたが、今日歩いたコースを整備すれば1周3、4時間のかなり魅力的な周回コースが出来るはずだ。更に小六所山、花立峠までの道を整備し、越知山まで行けるようになれば、六所山、小六所、花立峠、越知山、武周ヶ池を廻り、旧茗荷集落から中部北陸自然歩道に指定されている林道を通って元に戻ってくる雄大な周回登山道が出来上がる。これを1周するにはかなり時間が掛かりそうだが、健脚なら十分に日帰りが可能だろう。

 

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